• Top
  • Magazine
  • データ活用の事例まとめ~クレジットカード・新聞メディア・航空の3業界に学ぶ「データの活かし方」と始め方~

2026.06.03NEW

  • コラム

データ活用の事例まとめ~クレジットカード・新聞メディア・航空の3業界に学ぶ「データの活かし方」と始め方~

  • #データマネジメント
  • #データ活用
  • #マーケティング
データ活用の事例まとめ~クレジットカード・新聞メディア・航空の3業界に学ぶ「データの活かし方」と始め方~
インプットポイント
  • クレジットカード・新聞メディア・航空の3業界における、具体的なデータ活用事例
  • 業界を超えて共通する「データ活用がうまくいく型」
  • 自社でデータ活用を始めるための土台(データドリブン経営・データマネジメント)

「自社にもデータはあるが、どう活かせばいいか分からない」――そんな実務担当の方に向けて、本記事では、過去に執筆してきた業界別のデータ活用事例を整理しました。事例から自社への応用のヒントを得たうえで、最後に「何から始めればよいか」までを一本にまとめています。

業界別データ活用事例:クレジットカード・メディア・航空

事例は「数」で眺めるより、「どんなデータを・何の判断に・どう活かしたか」という視点で読むと、自社への応用が見えてきます。

1. クレジットカード業界 ― 決済データを「購買行動」として活かす

カードの決済データは、消費者のリアルな購買行動がそのまま記録された、活用余地の大きいデータです。たとえばクレディセゾンは会員データを集約するプライベートDMPを構築し、パーソナライズした情報配信や、法人顧客向けの1to1広告・DM配信といったマーケティング支援へ展開。決済データとAIを掛け合わせる動きも進んでいます。

  • 扱うデータ:会員の属性・決済・関連サービス利用データ
  • 活用の狙い:パーソナライズ配信、法人向けマーケティング支援
  • ポイント:大量に貯まる決済データを、自社施策にとどめず対外的なソリューションへ広げる

詳しくは:クレジットカード業界における最新データ活用事例

2. 新聞・メディア業界 ― 購読者データを編集と新規事業の両輪に

紙からデジタルへの移行が進む中、購読者の属性や閲覧行動のデータが蓄積されるようになりました。これを編集判断やコンテンツ最適化に使うだけでなく、対外的なデータ提供や新規事業へと広げる動きが見られます。

  • 扱うデータ:購読者の属性・閲覧/行動ログ
  • 活用の狙い:コンテンツ最適化、購読継続率の向上、新たな収益源の創出
  • ポイント:「読まれるコンテンツづくり」と「データそのものの事業化」を両立させる

詳しくは:新聞業界で進むデジタル化とデータ活用事例

3. 航空業界 ― 旅客データで販売を「小売化」する(MAR)

航空券の売り方が、運賃表ベースの販売から大きく変わりつつあります。IATA(国際航空運送協会)が提唱する「Modern Airline Retail(MAR)」は、航空会社自身が「どんな商品を、どう届けるか」を設計する、小売業のような販売モデルへの転換です。これを支えるのが、旅客の属性や行動を踏まえた商品設計とパーソナライズです。

  • 扱うデータ:旅客の属性・予約/搭乗履歴・付帯サービス利用データ
  • 活用の狙い:個客に合わせた商品・運賃の提供、付加価値販売
  • ポイント:流通任せだった販売を、データを起点に自社主導の「リテール」へ作り替え

詳しくは:航空業界のDX ~Modern Airline Retail(MAR)入門~

事例から見える、データ活用がうまくいく「型」

業界もデータもばらばらな3つの事例ですが、うまくいっているケースには共通する型があります。

  1. 目的が先、データが後:「何の意思決定・体験を良くするか」を定めてから、必要なデータを整えている
  2. データを統合して「顧客」を捉えている:決済・行動・取引といった断片を、一人の顧客像として束ねている
  3. 集めたデータを顧客価値に還元している:分析で終わらず、パーソナライズや新サービスとして顧客に返している

逆に、基盤を作っただけで「何に使うか」が曖昧なままだと、データは活用されずに眠ってしまいます。

自社でデータ活用を始めるには ― 3つの土台

事例を自社で再現するには、その裏にある土台が必要です。実務で進めるなら、次の順で押さえるのが現実的です。

① 組織で「データドリブン経営」の方向性を揃える

データドリブン経営とは、勘や経験だけに頼らず、データに基づいて意思決定を行う経営のあり方です。特定のツール導入の話ではなく、組織全体でデータの「収集→整備→分析→活用」を回し続ける取り組みである点が重要です。どんなに立派な基盤を入れても、組織として「何のために使うのか」が揃っていなければデータは活かされません。

詳しくは:データドリブン経営とは?データドリブンな組織を作るために必要なこと

② 社内のデータを整える ― マスターデータマネジメント(MDM)

「同じ顧客が部門ごとに別人として登録されている」といった分断があると、その上でどんな施策を打っても精度は上がりません。マスターデータマネジメント(MDM)は、顧客・商品といった基幹データの定義を全社で統一・統制する取り組みで、データ活用を支える足場になります。

詳しくは:マスターデータマネジメント(MDM)とは?~企業のデータ活用推進の取り組み~

③ 社外のデータと安全に掛け合わせる ― データクリーンルーム

自社データだけでは見えない顧客像を補うには、社外データとの掛け合わせが有効です。しかしプライバシー規制が強まる中、個人情報をそのままやり取りするのは現実的ではありません。データクリーンルーム(DCR)は、プロバイダーの厳格な管理下でデータをハッシュ化したまま掛け合わせ、個人情報そのものを取得せずに分析・施策へ活かせる仕組みで、サードパーティCookie規制を乗り越える手段として広がっています。

詳しくは:データクリーンルームとは?~進むCookie規制に対する新たな解~

まとめ:データ活用は「目的→整える→活かす」の順で動く

データ活用は、「組織で目的を揃える→データを整える・つなぐ→業界の文脈で活かす」という流れで初めて成果につながります。3業界の事例に共通していたのも、まさにこの順序でした。

自社にどんなデータが眠っていて、それを「何の判断・体験」に活かせるか。まずはここを一つ定めることが出発点です。

ファーストデジタルでは、データ活用の戦略検討から、基盤・データマネジメントの整備、業界特性を踏まえた施策の実行・運用定着までを一気通貫でご支援しています。「データはあるが活かせていない」「どこから着手すべきか分からない」といった段階からでも、お気軽にご相談ください。

Profile

井上 陽貴Manager
慶應義塾大学卒業後、楽天グループ株式会社に⼊社し、モバイル事業においてモバイルコンサルタントとして複数店舗の分析・仮説⽴案・改善提案・施策実⾏を担当し、その後、EC事業において新規店舗開拓の営業に従事。
2023年から株式会社ファーストデジタルにジョイン。

Other Articles by the Author