EQリーダーシップとは?~現代に求められるリーダーシップの形~

- インプットポイント
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- EQの概要について知ることができる
- EQリーダーシップの種類について知ることができる
日々仕事を進める上で、誰しもが何らかの形でリーダーシップを求められる場面に直面するかと思います。たとえチームをまとめる立場ではなくても、プロジェクトを推進したり、周囲に良い影響を与えたりするためには、自らリーダーシップを発揮することが欠かせません。
一方で、「リーダーとはどうあるべきか」「自分らしいリーダーシップとは何か」と悩む人も少なくありません。現代のビジネス環境では、単に指示命令を行うだけでなく、人の心に寄り添いながら導く新しいリーダー像が求められています。
本記事では、リーダーシップをEQ(心の知能指数)の観点から紐解き、これからの時代に求められるリーダー像について考察します。本記事を読むことで、EQの基本的な考え方、EQリーダーシップの種類、求められるリーダーシップ像について理解することができます。
【目次】
- EQとは?心の知能指数について
- 共鳴型リーダーと不協和型リーダー
- EQの4領域
- EQリーダーシップの6つのスタイル
- まとめ
EQとは?心の知能指数について
EQ(Emotional Intelligence Quotient)とは、直訳すると“心の知能指数”です。意訳すると、自分自身や他者の感情を正確に認識し、適切に管理する能力を指します。一般的に知られているIQ(知能指数)が、論理的思考力や知識の豊富さを測る指数であるのに対して、EQは「感情面の知性」を表します。
現代のビジネスにおいては、個々人の能力だけではなく、チームや組織の力を最大化することが求められます。そのため、リーダーにとってEQは不可欠なスキルとなっています。高いEQを持つ人は、ストレス耐性が高く、対人関係を円滑に進め、組織を前向きに導くことができます。
EQは持って生まれた能力ではなく、学習によって習得しうる能力です。後述するEQの領域、およびリーダーシップのスタイルをきちんと理解することで、自身でも伸ばしていくことができます。
共鳴型リーダーと不協和型リーダー
EQについて詳しく説明する前に、まずはリーダーを大きく2種類に分類します。
共鳴型リーダー
共鳴型リーダーとは、EQが高く、人々の感情を敏感に察知しながら、集団を価値ある目標へと導けるリーダーのことです。彼らは、長続きするモチベーションを生み出し、前向きな感情の共鳴を促進します。具体的には、部下一人ひとりの感情を尊重し、安心感と信頼感のある環境を作りながら、チーム全体を正しい方向へと導く力を持っています。
不協和型リーダー
一方で不協和型リーダーは、共感能力に欠け、周囲に負の感情を増幅させるリーダーを指します。 このタイプのリーダーは、部下の不満や悩みに気づかず、結果として組織全体の士気を低下させてしまいます。また、自分自身の考えに囚われがちで、部下との信頼関係を築くことが難しいため、組織に悪影響を及ぼすことも少なくありません。要するに不協和型リーダーとは、上司に持ちたくないと思うようなリーダーのことです。
我々が目指すべきEQリーダーシップとは、前者の共鳴型リーダーの事を指します。
EQの4領域
ここからは、EQを4つの領域に分類して具体的に説明していきます。
4領域を理解/実践することで、高いEQリーダーシップを身につけることが可能になります。
1.自己認識:自分の感情を認識する
自己認識とは、自分の感情、長所や限界、価値観や動機について深い理解を有していることです。自己認識の優れているリーダーは、自分の価値観、目標、夢なども理解しているため、自分にとって「適切かどうか」を判断する感覚も持ち合わせています。自己認識の有無は、自己省察や沈黙思考の習慣があるかどうかで確認ができます。
2.自己管理:自分の感情をコントロールする
自己認識ができてはじめて、自分の感情を適切にコントロールする自己管理が可能になります。自己管理によって、不安や怒り、パニック等の負の感情に囚われず、リーダーシップに必要な明晰な思考力や集中力を可能にしてくれます。
3.社会認識:他者の気持ちを認識する
自己認識と自己管理の次に求められるのは、社会認識です。「共感」と言い換えることもできます。社会認識は、リーダーが共鳴を喚起するという基本的役割を果たすために、不可欠な能力です。他者の話に耳を傾け、他者の視点でものを見る共感能力のあるリーダーは、集団の感情に同調し、人々の心に響くメッセージを送ることができます。
4.人間関係管理:人間関係を適切に管理する
自己認識、自己管理、社会認識の3つの要素が揃うことで、最後のEQである人間関係の管理が可能になります。説得、揉め事の処理、協調等の最も分かりやすいリーダーシップの発現となります。
EQリーダーシップの6つのスタイル
ここからは、EQリーダーシップのスタイルについて具体的に説明していきます。前述したEQの4領域を踏まえて、EQリーダーシップは6つのスタイルに分けることができます。
高いEQを持つリーダーは、状況や相手に応じて、下記6つのリーダーシップスタイルを日々、使い分けています。概要/特徴、効果、適用すべき状況の3つに分けて説明します。
ビジョン型リーダーシップ
【概要/特徴】
ビジョン型のリーダーシップは、明確なビジョンや方向性を示し、メンバーを未来志向に導くスタイルです。「なぜこの目標を目指すのか」という意義を伝え、共感を引き出します。
【効果】
- メンバーにやる気と目的意識を与えることができる
- 自律的な行動を促進し、チームのベクトルをそろえることができる
- 長期的な成長意欲を高めることができる
【適用すべき状況】
- 変革のための新しいビジョンが必要な時
- 明確な方向性が必要な時
コーチ型リーダーシップ
【概要/特徴】
コーチ型メンバーシップは、メンバー一人ひとりの強みや可能性を引き出し、育成することを重視するスタイルです。個別の対話を通じて「本人が目指す成長目標」に寄り添います。
【効果】
- メンバーの成長意欲と自己効力感を高めることができる
- 離職率の低下につながる
- チーム内に自己成長文化を根付かせることができる
【適用すべき状況】
- 部下のスキルアップ・キャリア支援が求められる時
- 従業員の中長期的な才能を伸ばし、パフォーマンス向上を援助する時
関係重視型リーダーシップ
【概要/特徴】
関係重視型リーダーシップは、人間関係を重視し、信頼・共感・感謝を基盤にチームをまとめるスタイルです。感情面への配慮を忘れず、心理的安全性を確保します。
【効果】
- チームの結束力・協力体制が高まる
- 心理的安全性が向上し、意見が出やすくなる
- 離職率やストレスレベルが低下する
【適用すべき状況】
- チームの亀裂を修復する時
- ストレスのかかる状況下でモチベーションを高める時
- 結束を強める時
民主型リーダーシップ
【概要/特徴】
民主型のリーダーシップは、メンバーの意見や考えを積極的に引き出し、合意形成を重視するスタイルです。ボトムアップ型のリーダーシップとも言い換えることができます。
【効果】
- チームメンバーの当事者意識を高めることができる
- 多様な視点が集まり、より良い意思決定ができる
- 現場力や柔軟性を強化することができる
【適用すべき状況】
- 賛同やコンセンサスを形成する時
- 従業員から貴重な提案を得たい時
ペースセッター型リーダーシップ
【概要/特徴】
ペースセッター型リーダーシップは、高いパフォーマンス基準を自ら示し、スピードと成果を求めてチームを牽引するスタイルです。「見せて引っ張る」タイプのリーダーシップで、指導よりも結果を重視するタイプのリーダーシップのため、サポートが不足するとチームの疲弊を招いてしまいます。
【効果】
- チーム全体の成果水準を短期間で引き上げることができる
- ハイパフォーマーのモチベーション維持につながる
- 明確な目標達成を実現できる
【適用すべき状況】
- モチベーションも能力も高いチームから高レベルの結果を引き出したい時
強制型リーダーシップ
【概要/特徴】
強制型リーダーシップは、「指示命令型」とも呼ばれ、厳格なルールと明確な命令を通じて即断即決を行うスタイルです。トップダウンで状況をコントロールします。このリーダーシップを長期間実施すると、メンバーの主体性や士気を低下させる恐れがあるため、必要最低限に留めるべきスタイルです。
【効果】
- 緊急時に迅速な対応ができる
- 秩序を維持し、混乱を防止できる
- 明確な指示が必要な場面では高い効果を発揮できる
【適用すべき状況】
- 危機的状況下、または再建始動時
- 問題のある従業員に対して指導する時
【まとめ】EQリーダーシップを発揮するために
ここまで、EQ(心の知能指数)の概要から、その4つの領域、そしてEQリーダーシップの6つのスタイルについて紹介してきました。
最も重要なポイントは、リーダーシップは正解が一つではないということです。EQの高いリーダーは、個人や集団の状態を繊細に察知し、状況に応じて最適なリーダーシップスタイルを柔軟に使い分けています。
また、EQは先天的な資質だけで決まるものではありません。意識的に学び、鍛えることで、誰もが身につけることが可能です。
本記事を通じて、皆様がご自身のEQを見直し、高めながら、より効果的なリーダーシップを発揮していかれることを心より願っています。
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- 井上 陽貴
- この記事は井上 陽貴が執筆・編集しました。
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