2025.05.21NEW

国際的スポーツイベントにおけるデジタルチケットの販売管理システムの仕組み

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国際的スポーツイベントにおけるデジタルチケットの販売管理システムの仕組み
インプットポイント
  • 大規模イベントにおけるチケット販売管理システムの概要が分かる
  • 当該イベントにおけるチケット販売/提供について実経験に基づく具体的な情報を得ることが出来る

2024年の夏に開催された4年に1度の祭典 を観覧した際、チケットの販売管理システムにおけるデジタルチケットの販売方法や物理チケットの活用方法が興味深かったため、改めて整理した記事となる。
記事執筆時点では、各種イベントにおけるチケットの提供形態はリアル/デジタルが併存しているものの、今後デジタルチケットを主流に取り扱っていくにあたって、CX向上の観点からも参考になるものと考えている。

なお、本記事では当該イベントにおけるチケット販売に焦点を当てているため、チケット購入に向けた事前の抽選や当選区分ごとの(チケット販売プラットフォームに対する)アクセス制限・管理機能については触れていない点に留意いただきたい。

【目次】

  • はじめに
  • 通常販売/リセールにおけるチケット・費用の流れについて
  • チケット販売における特徴
  • まとめ

はじめに

前提として、当該のイベントでは、主催者が利用者にチケットを販売する「①通常販売」と、通常販売で購入したチケットを利用者が販売する「②リセール」の2つの仕組みが主な機能として具備されていた。

また、各機能のリリースは段階的となっており、開催の1年2カ月前に「①通常販売」の機能がリリースされ、開催から2カ月前に「②リセール」の機能がリリースされている。

通常販売/リセールにおけるチケット・費用の流れについて

通常販売とリセールのチケットや費用の流通を記した簡易なイメージ図が下記となる。

通常販売では、チケット販売プラットフォームを通じて主催者/利用者間のみでチケットおよび費用の流通が完結している。

一方、リセールでは、チケットは利用者(A、B)間でのみ流通し、主催者は関与しない仕組みとなる。但し、各種料金の流通はチケット販売プラットフォームを介した、利用者(A、B)間の取引だけでなく、各利用者と主催者との取引も発生する。

具体として、チケット料は前者に該当し、後者は各利用者から主催者に向けて支払われる取引手数料(通常販売、リセール)が該当している。

チケット販売における特徴

本プラットフォームのチケット販売においては、「リセールチケットの流通」と「物理チケットの付加価値向上」の2点に特徴があると考えている。また、これら特徴を実現できている背景としては、チケットが全て「デジタルチケット」として提供していること挙げられる。

1.リセールチケットの流通

全てのチケットがデジタル化されている為に、チケットのリセールに第三者のプラットフォームを活用/利用することは困難となっている。さらに、マイページ上で保有しているチケットを、シームレスにリセールできる仕組みが整っていたため、ユーザーの利便性の観点からも、その必要性は低かった。

リセールを行いたいユーザーは、前述の通りマイページから再販登録を行い、チケットを購入したいユーザーは(通常販売と同じ手順で)目的のチケットを購入するといったシンプルな仕組みとなっている。

為替レートによる差額は発生するものの、チケットの売価は固定となっているため、リセール利用者の不利益は追加の手数料程度と非常に少なく、主催者に対してはチケット購入者とリセールの利用者の双方から手数料が得られるといったメリットが存在している。

補足ではあるが、リセールの実行によって、元のチケット保有者のチケットは無効化(ディアクティベート)されるため、入場時の重複利用も防ぐことが可能となっている。

2.物理チケットの付加価値向上

デジタルチケット化したことにより、イベントの観覧に物理チケットが必要のない(そもそも発行されない)状況となっていた。

そのため、本イベントではデジタルチケット購入時にオプションとして「物理チケットの追加購入」を提示し、イベント終了後、一定期間が経った後で、チケットに関連する印象的な写真を使用し、専用のデザインを設えたチケットを送付する形式を取っており、まさに一種の記念品として付加価値を与えている 。

物理チケットを開催や観覧記念(=お土産)としての用途に絞ることで、より高付加価値の商品として成立させていた。

おわりに

昨今、チケットをはじめとして各種物品の流通における課題を多く見かける中で、このような大規模のイベントにおける販売の仕組みを知ることで、同様のプラットフォームを抱える事業者はもちろんのこと、イベントの主催者側としても、利用者のCXを向上/改善するためには、どのような方法/手段でチケットを販売/提供していけばよいかといった事柄を検討する際の一助として頂ければ幸いである

Profile

窪田 聡史Senior Consultant
WEBプロダクションにてディレクターとしてサイトやオウンドメディア構築、WEBコンテンツ制作に従事。コンテンツの企画からリリースといった制作の全工程においてプロジェクトの進行管理で豊富な経験を積み、2021年から株式会社ファーストデジタルにジョイン。
窪田 聡史
窪田 聡史
この記事は窪田 聡史が執筆・編集しました。

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