2022.10.31

【事例紹介】納得感の高い「プロジェクトマネージャー人材評価手法」を開発するプロセス

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【事例紹介】納得感の高い「プロジェクトマネージャー人材評価手法」を開発するプロセス
インプットポイント
  • プロジェクトマネージャー人材を評価する「評価指標」の作り方を知る。
  • 納得感ある評価結果を導く「評価分析手法」の作り方を知る。
  • プロジェクト概要:プロジェクトマネージャー人材評価手法の開発、期間約1.5年

「理想のプロジェクトマネージャー人材を増やす為の育成ポイントが知りたい!」という発言がきっかけに

今回は、以前ご紹介した「【事例紹介】プロジェクトマネジメントのフレームワークを活用した働き方改革」の続きとして、プロジェクト内で実施した「プロジェクトマネージャー人材評価」施策について、ご紹介したい。

クライアントは対応力が評判のデジタル制作プロダクション。しかし、その対応力がゆえに、非効率な働き方が蔓延していた事が悩みの種だった。対応力一辺倒な働き方から脱却する為、「プロジェクトマネジメントの総合力強化」を目的とした全社プロジェクトが立ち上がった。

全社プロジェクトのキックオフの際に、プロジェクトオーナーから以下の様な発言があった。
「(このプロジェクトメンバーの一員である)彼は、社内で最も優秀なプロジェクトマネージャーである。だから、彼のような理想のプロジェクトマネージャー人材を増やす為、プロジェクトマネジメント視点での社員の育成ポイントが知りたい!」

このリクエストがきっかけとなり、「プロジェクトマネージャー人材評価施策」を実施する事となった。

わかりやすく、納得感の高い「評価分析手法」を開発するには?

「優秀なプロジェクトマネージャー人材」と「将来のプロジェクトマネージャー候補となる人材」をわかりやすく比較し育成ポイントを明確にする為、今回の施策では数値で定量評価する「評価分析手法」の開発を目指した。
また、「評価指標だけでなく、評価結果にも納得感が持てる事」が今回の施策の肝だった為、以下3つのプロセスで「評価分析手法」を開発する事となった。

①現場とマネジメントの声を起点とした「評価指標」の洗い出しと設定
②サンプル評価実験による「モデル評価分析手法」の開発
③予備調査による「評価分析手法」のチューニング

これら、①〜③の各プロセスを、以下ご紹介する。

現場とマネジメントの声を起点とした「評価指標」の洗い出しと設定

まず、現場にとって納得感の高い「評価指標」を抽出する為に行ったのが、「現場インタビュー調査」である。
このインタビュー調査では、営業部門にいるプロジェクトマネージャー人材だけでなく、スタッフ部門からも対象者を選定し、プロジェクトマネジメントを実施する側・受ける側の双方の声を聞く事を心掛けた。

この調査分析を通して、「プロジェクトマネージャーにとって必要なスキルセット」を、以下5種類に分類し定義した。

  1. 知識力
  2. 理解力
  3. 判断力
  4. コミュニケーション力
  5. 明文化力

そして、上記のスキルセット分類から、それぞれを細分化した「評価項目」を洗い出した。
ちなみに、「知識力」については、ウエイトを高くしたいニーズがあった為、他よりも多くの「評価項目」を洗い出す事になった。

次に、現場だけでなくマネジメントする側の納得感も担保する為、プロジェクトチームメンバーとの協議を通じて「評価項目の設定」を行った。

プロジェクトマネージャーを評価・育成する側のマネジメントにとって、「現場インタビュー調査」で抽出たスキルセット評価項目には納得感はあった。しかし、「スキル」だけでは「プロジェクトマネージャー人材要件」として不十分と感じていた。そこで、人材要件として、「スキル」の他に、「マインド」と「経験」という評価軸を追加して定義した。この「マインド」とはリーダーシップに必要なマインドで、5つの評価項目を設定した。「経験」には、「役割経験」と「プロジェクト経験」の2種類の分類から6つの評価項目を設定した。

これらの追加により、最終的に全部で39個もの評価項目を設定する事となった。
様々な立場の声を聞き反映させる事ができた為、どの立場の方からも納得感の高い「評価指標」となった。

② サンプル評価実験による「モデル評価分析手法」の開発

納得感の高い「評価指標」の設定ができた後は、それを活用した「評価分析方法」の開発である。
まず、最初に取り組んだのが、「評価シート」の作成である。「評価シート」では、評価者の負担を軽減する為、各評価項目を5段階評価の評点を記入するだけのシートにした。また、シート記入後の分析の運用面も考慮し、以下の様な工夫も、シートに施した。

  • 複数人で評価した評点の平均点を「評価点」として自動計算
  • 評価項目の優先順位によって、加重平均をかける自動計算
  • 対象者の評価点を比較分析できる「分析シート」の追加

次に、「評価分析手法」の開発の為に取り組んだのが、「サンプル評価実験」である。これは、評価について肌感がある人材を「サンプル対象者」として選定し、プロジェクトメンバーが試験的に評価し、「評価点が肌感と大きなずれがないか」を検証する実験である。評価から分析・検証までをプロジェクトチーム内でクイックに完結できる為、モデルとなる「評価分析手法」の開発に大いに役立つ実験となった。

サンプル対象者には、優秀なプロジェクトマネージャー人材から4名、将来のプロジェクマネージャー候補となる人材から24名をピックアップした。個々の比較分析だけでは全体傾向が掴めない為、以下3つのグループに分け、各グループの評価点の平均の差を確認する分析を行った。

  1. ベンチマーク人材:理想像となる優秀なプロジェクトマネージャー人材
  2. ターゲットベテラン人材:プロジェクトマネージャー候補の中でも職位が高めのベテラン人材
  3. ターゲット若手人材:プロジェクトマネージャー候補の中でも職位の低めの若手人材

個々人の評価集計結果は、概ね肌感に近い結果が確認された。また、グループ間の分析結果においても、わかりやすく納得感の高い傾向を確認できた。これら検証結果により、開発した「モデル評価分析手法」はおおよそ機能すると判断し、プロジェクトマネージャーのいる営業部門での「本格調査」へと進む事となった。

③ 予備調査による「評価分析手法」のチューニング

営業部門への本格調査では、評価者がより現場に近い部署長レイヤーに変わる為、「モデル評価分析手法」がきちんと機能するかを確認する必要があった。その為に行ったのが、「予備調査」である。

「予備調査」では、各部署の部長と副部長に、4年目以上のプロジェクトマネージャー志向のある人材を10名選定し評価してもらった。評価の際、基準として参照できるように、評価実験の「ベンチマーク人材」のスコアを「評価シート」には追記した。
「予備調査」の集計分析により、「モデル評価分析手法」に関して以下のような問題が確認できた。

  • 参照用の「ベンチマーク人材スコア」が高スコアすぎた事で、評価点が高騰し、評価実験のスコアから大きく変わった人が続出した。
  • 評価点の平均スコアが、部署によって大きな差が出た。
  • 評価点の平均スコアが、一部で職位間できちんと差が出なかった。

これらの問題を解消する為、「本調査」では、部員評点の基準となる「基準メンバー」を各部署で設定する対応策を実施した。「基準メンバー」の設定・評価については、以下のステップで行った。

  • どの評価項目でも、部署として必要だと思うレベルを最低限満たしている人材を、「基準メンバー」として部署長が選定。
  • 選定した「基準メンバー」をオリエン時に、各部署長とプロジェクトメンバーで問題ないか協議。問題がある「基準メンバー」がいた場合、その場で変更・調整。
  • 確定した「基準メンバー」は、スコア平均が3.0となるように評点。


「基準メンバー」の追加を含めた「評価手法」のチューニングにより、営業部門で全員を対象とした「本調査」では、「予備調査」であったような評点のブレはかなり解消された。

「プロジェクトマネージャー人材評価」施策の成果

今回の「プロジェクトマネージャー人材評価」施策では、「プロジェクトマネジメント視点での育成ポイントの明確化」という当初の目的は達成できた。それゆえ、「本調査」結果は、評価項目に対応した研修プログラムの開発や、研修対象者の選定基準として、活用される事となった。

また、今回の施策は研修が必要な若手人材だけでなく、ベテラン人材にとっても、いい成果があった。それは、プロジェクトマネージャー要件として、得意/不得意な領域を、細かく評価できた事である。既にプロジェクトマネージャーとなっている人も多いベテラン人材にとって、今後のキャリアパスを考える際の有効なデータとなった。その為、プロジェクトマネジメントを重視した全社評価制度改革においても、今回開発した「評価分析手法」が活用される事となった。

今回の施策が上記のような成果が出せたのは、ご紹介した一連のプロセスを通じて、段階定期に、様々な立場の人達の納得感を高める事ができたからである。今回開発した「評価分析手法」が、今後も色々な形で活用させる事を期待したい。

Profile

田中 瑞樹Consultant
一橋大学卒業後、2000年P&Gファーイースト・インクに入社。アシスタントブランドマネージャーとして新商品のコンセプト開発に従事。2002年ダイレクトマーケティングに強みを持つ広告会社の株式会社大広に入社。営業を2年、マーケティングリサーチャー・ストラテジープランナー2年の職種経験を経て、2006年より大⼿健康⾷品通販クライアントの専属デジタルチームのリーダーに着任。以降、約11年間チームを牽引しつつ、「新規顧客獲得販促活」から「顧客育成のCRM活用」まで幅広い範囲のデジタルマーケティング活動に関して、戦略策定・メディアプラン作成・施策開発等に従事。2017年から株式会社ファーストデジタルにジョイン。
田中 瑞樹
田中 瑞樹
この記事は田中 瑞樹が執筆・編集しました。

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