2023.02.20

【事例紹介】新規マーケティングプラットフォームの最初期構築

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【事例紹介】新規マーケティングプラットフォームの最初期構築
インプットポイント
  • PoCに向けた調整のポイント
  • 高網羅性の単一ツールか、高専門性の複数ツールか。最初期構築における各実装パターンのメリデメ

当記事は、2022年9月にご紹介した 【事例紹介】独自IDを活用した新規マーケティングプラットフォーム検討支援 の続編で、プラットフォームの最初期構築フェーズの事例紹介である。

毎月数本のペースで様々なサービスをリリースしているクライアントにおいて、サービスを世に送り出す前にテストマーケティングを行い、磨きこみ、高度化することを目的としたWebマーケティングプラットフォームの検討が行われた。それが前回である。

前回は、「独自ID」をキーワードに、与件の整理からロードマップの定義に至るまでのプロセスをご紹介した。

今回は、このWebマーケティングプラットフォームにおける、PoC準備と最初期構築についてご紹介していきたい。

なお、一口にテストマーケティングとは言っても、単にアノニマスなユーザーにアンケートを投げるようなアドホックな調査を行うプラットフォームではない。

  • 実際にユーザーと関係性を持ち(=IDの発行)
  • 解像度の高いモニターとなっていただき(=DMPとの突々等)
  • サービスを実際にご利用いただいた上で(=トライアル)
  • 精度の高い分析や改善を行う

ということを大きな特徴とするプラットフォームだ。中でも3点目のトライアルがキーファクターであるため、前回に引き続き、今回もこのプラットフォームを「サービストライアルプラットフォーム」と呼ぶこととする。

PoCに向けた取り組みの開始

先ほどから、「初期フェーズ」ではなく「最初期フェーズ」と少々語呂の悪い表現をしているのにはワケがあるので、一度整理しておきたい。

そもそも、サービストライアルプラットフォームは、サービスを改善し、それによってCXの向上や売り上げの拡大を狙うものである。

従って、本来のあるべき姿は、サービスの改善ができるのは当然のこと、顧客開拓、ナレッジ活用、プロモーション設計等までできるプラットフォームであることだ。

一方で、ロードマップというものがある。ご存じの通り、あるべき姿までの道のりを、重要度やフィージビリティ等に鑑み分解し、初期はここまで、中期はここまで、といった形で、フェーズごとに行うべきことの範囲を示したものである。

サービストライアルプラットフォーム ロードマップ

ロードマップでは、初期フェーズでの実施事項は、大きく分けて

  • サービスをトライアル提供し、モニターと対話し、フィードバックを得るための仕組みを整える
  • PoCを実施し、必要機能を見極める(同時に、PoCの中で生じる各種のログ・ノウハウを蓄積する)

の2点を定義していた。

1点目に「仕組みを整える」とあるが、開発ともなれば工数や期間を費やすことになる。失敗のリスクは減らしたい。

ゆえに行うのが、2点目のPoCである。当然PoCなので、各システムやツールは疎結合のまま手動で運用し、プラットフォームの概念を実証していくことになる。

PoCは、その準備1つとっても相当の期間と工数を要する取り組みである。

つまりこうだ。初期フェーズに含まれていたものの1つがPoCであり、PoC準備期間や具体的なPoC実施範囲のことを指して「最初期」と表記させていただいている。

PoC実施スコープの明確化と協力者の巻き込み

PoC実施にあたり、まずはPoCの実施スコープを明確化した。

初期フェーズの目標にある「サービスをトライアル提供し、モニターと対話し、フィードバックを得るための仕組みを整える」を、もう少し施策/機能寄りにブレイクダウンすると、以下のようになる。

  • モニターを募る(LPやメール等)
  • モニターにサービスをトライアル利用いただく(ID発行やサービス提供等)
  • モニターとコミュニケーションする(チャットやアンケート等)
  • トライアル利用やコミュニケーションの中からデータを取得し、分析する(ログの統合や可視化等)

これらをPoCの実施スコープとした。特に、トライアル利用はプラットフォーム自体の特徴であるため、PoCでもサービスのトライアル利用を伴うことが重要だ。

次に、協力者の巻き込みである。PoCを実施するには協力者が必要だ。ここでいう協力者とは、各サービスの開発を受け持つ管轄部署のことである。

PoCの内容が、サービス管轄部署の困りごとやニーズを解決するものでなければ、サービス管轄部署の方々にとっては協力するメリットがない。そのため、PoCの実施内容には、サービス管轄部署の方々の声もある程度反映していくことになる。

とはいえ、PoCの実施内容にサービス管轄部署の声を反映しすぎても、概念実証の意味がない。

そこで、PoC協力の打診をいただいたいくつかのサービス管轄部署に対し、「PoCでやりたいこと」をヒアリングした。

中にはやはり、やりたいことの本質が「サービスの需要があるかどうかをクイックに見極めたい」「販売数拡大のために新たな顧客層との接点が欲しい」といったところにある管轄部署もあった。

もっとも、これらはTOBEでは具備されるべき内容である。だが、PoCの実施スコープや目的からは逸脱するため、クイック調査や顧客開拓等を主目的とする管轄部署に対しては、市中の調査サービスのご案内や、第二次PoC以降での改めてのご相談、といった形でご対応をさせていただいた。

こうした各種調整の末、最終的には、PoCでの適合度が高いサービス管轄部署にご協力いただけることとなった。

プラットフォームの初期構築。2つの実装パターンとメリデメ

PoCの実施スコープと、ご協力いただけるサービス管轄部署の決定を受け、PoC実施のための土壌整備、すなわちプラットフォームの最初期構築が始まった。

まず、最初期フェーズに必要な機能(Webコンテンツ作成機能、チャット機能、アンケート機能等)を洗い出し、対応する市中のツール(CMS、カスタマーサポートサービス、コミュニティツール等)を比較・選定していった。

リストアップの結果、市中のツールの中には、それ1つで最初期フェーズに必要な機能の大半を網羅しているものもあった。

つまり、実装パターンは2つある。

  • 必要機能ごとに専用のツールを利用する(複数ツールの組み合わせ)
  • 必要機能を網羅したツールを利用する(単一ツール。一部の足りない機能は他ツールで補完)
実装パターンごとのメリット・デメリット

複数ツールの組み合わせで実装する場合の特徴は以下の通りだ。

  • 低コストで済む場合がある
  • 1つ1つの機能に着目した場合、豊富な機能性を有している可能性が高い(各機能専用に開発・提供されているものであるため)
  • 実装を進める上での窓口が複数にまたがり、複数のベンダーとの調整が必要
  • そのままでは各ツール間は疎結合のため、データの管理・統合・分析に手間がかかる

コスト以外についてはデメリットが目立つ上に、たとえ額面上の見積もりを抑えられても、各ベンダーと調整し、工面する手間=工数を考えれば、実質的にはコストメリットも霞んでくる。

それに対し、網羅性の高い単一ツールで実装する場合の特徴は以下の通りだ。

  • コストが高くなる傾向にある
  • 1つ1つの機能に着目した場合、機能性が不十分な可能性がある
  • 実装を進める上での窓口が1つで済む
  • 蜜結合化する手間をかけることなく、データの一元的な管理・統合・分析ができる

特に4点目は、各ツール・システムを疎結合のまま運用することを想定していたPoCにおいても、労せずしてある程度のデータ活用が可能となることを意味する。

上記のメリデメに加え、コンテンツのカスタマイズ性なども加味して検討した結果、今回のPoCでは、網羅性の高い単一ツールの中でも「コミュニティツール」を採択するに至った。

ここまで決まれば、後の工程はPoC実施スコープに従いスムーズに進む。

ツールのセッティング、ご協力いただくサービス管轄部署との調整および調査内容の詳細化、各種コンテンツ制作、運用案の策定、KPI設定等を行い、無事、PoC準備フェーズの完了となった。

成否を分ける折衝力とデジタル知見

導入ツール決定後の工程をスムーズに進められたのは、

  • PoCにご協力いただいく管轄部署の方々と双方の目的をはっきりと示しあい、理解した上で手を組んだこと
  • 網羅性の高いツールを採択し、本当に必要なことの調整にリソースを集中できたと

の2点の恩恵を強く受けている。

PMの立ち位置であるファーストデジタルは、これらを実現するための推進力・折衝力・デジタル知見で貢献した。

PoCの実施フェーズ以降の動向に関しては、改めて共有したい。

Profile

植野 峻彰Senior Consultant
慶應義塾大学卒業後、服飾関連の製造小売企業に入社。その後、化粧品関連の商社にて、主にマクロを駆使した社内外のRPA、およびDXプロジェクトに参画。2021年から株式会社ファーストデジタルにジョイン。
植野 峻彰
植野 峻彰
この記事は植野 峻彰が執筆・編集しました。

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