2023.10.11

マインドロイヤルティを可視化するNPS(ネットプロモータースコア)とは?

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マインドロイヤルティを可視化するNPS(ネットプロモータースコア)とは?
インプットポイント
  • NPSの基本的な概念
  • NPSの意義
  • NPSの活用方法
  • NPSの限界と注意点

今回は、以前ご紹介した「顧客と長期的な関係を築くロイヤルティマーケティングとは?」に関連して、ロイヤルティを測定する手法についてご紹介したいと思います。

以前の記事では、ロイヤルティマーケティングの基本的な概念について解説しました。顧客のロイヤルティを育成し、長期的な顧客関係を築くためには、アクションロイヤルティとマインドロイヤルティの両面を考慮する必要があります。本記事では、そのうちの一つである「マインドロイヤルティ」を測定する手法として注目されている「Net Promoter Score(ネットプロモータースコア、以下NPSと略します)」に焦点を当て、その詳細についてご紹介していきます。

NPSの基本的な概念

NPSは顧客のマインドロイヤルティを測定するための指標で、2003年にフレッド・ライクヘルト(Fred Reichheld)によって提唱されました。「測定のアプローチが非常にシンプルで、結果もわかりやすい」という理由から、多くの企業で採用されています。

NPSを測定する基本的なアプローチは、次のステップで構成されています。

1.シンプルな質問
NPSの調査は、一つのシンプルな質問から始まります。「あなたは、〇〇(企業/製品/サービス 等のブランド名)を友人や同僚にどの程度勧めますか?」という質問に対して、顧客は0から10のスケールで回答します。この質問の回答を通じて、顧客の感情や評判を把握し、その結果を数値化します。このスコアは、顧客が企業やブランドにどれだけの愛着と信頼を寄せているかを示す重要な指標となります。

2.顧客の分類
NPSを計算する前に、上記のスコアから、顧客を3つのカテゴリーに分類します。

  • 推奨者(Promoters): スコアが9または10の顧客。
    推奨者は非常に満足しており他の人に積極的に勧める可能性が高いです。
  • 中立者(Passives): スコアが7または8の顧客。
    中立者は満足していますが、特に熱心ではありません。
  • 批評者(Detractors): スコアが0から6の顧客。
    批評者は不満足であり、他の人にはあまり勧めないでしょう。

この3つのカテゴリーに分けることで、企業やブランドは顧客の忠誠心や愛着度を把握し、改善策を講じるための手がかりを得ることができます。そして、NPSスコアの変動を追跡することで、顧客のマインドロイヤルティの変化を評価し、戦略を調整することが可能です。

3.NPSの計算
NPS(Net Promoter Score)の計算は非常にシンプルです。NPSは、「推奨者の割合から批評者の割合を引いた値」として計算されます。具体的な計算式は以下の通りです。

NPS = 推奨者の割合(%)- 批評者の割合(%)

この計算によって、NPSは-100から+100までの範囲でスコア化され、その値が企業やブランドの顧客満足度を示します。NPSが高いほど、顧客満足度が高まり、企業にとっては良い評判や忠誠的な顧客基盤の構築につながります。

図1:NPSを測定する基本ステップ

NPSの意義

NPSの意義は、マインドロイヤルティを数値化することで、以下の点を実現することにあります。

1.顧客の声を可視化
NPSは、顧客の声を数値化する手段として非常に効果的です。顧客からのフィードバックを数値化することで、企業やブランドは具体的な改善点を特定しやすくなります。また、数値化されたデータは可視化しやすく、経営陣やチームに簡潔に伝えることができます。

2.マインドロイヤルティの変化を追跡
NPSを定期的に調査することで、顧客のマインドロイヤルティの変化を追跡できます。顧客の満足度が向上しているか、低下しているかを把握し、それに応じた対策を講じることができます。

3.競合他社との比較
NPSは、競合他社との比較にも活用できます。同業他社とのNPSを比較することで、自社の顧客満足度がどの程度競争力を持っているかを評価できます。競合他社よりも高いNPSを維持することは、市場での優位性を示す指標となります。

NPSの活用方法

NPSの意義を理解したら、次はその活用方法について考えてみましょう。NPSを活用する方法は多岐にわたりますが、具体的な活用方法とその利点をいくつかご紹介します。

1.フィードバックの収集と分析
NPS調査を実施し、顧客からのフィードバックを収集します。批評者からの意見を特に重視し、改善点を特定します。このフィードバックをもとに製品やサービスの向上を図り、顧客満足度を高めます。
⇒利点: 不満点の具体的な改善策を特定し、サービス品質の向上に貢献します。

2.推奨者の活用
推奨者を活用して口コミマーケティングを推進します。推奨者に対して特別な報酬やプログラムを提供し、新規顧客の獲得を促進します。
⇒利点: 口コミによる新規顧客獲得を効果的に行い、収益を増加させます。

3.競合分析と戦略策定
競合他社のNPSと比較分析を行い、自社の競争力を評価します。低いNPSを持つ競合他社と差別化を図り、市場での優位性を確立します。
⇒利点: 競合他社との比較から競争戦略を立て、市場シェアを拡大します。

4.顧客サポートの最適化
NPSの調査を通じて、顧客が抱える問題やニーズを把握し、顧客サポートを最適化します。迅速かつ効果的な対応により、顧客満足度を向上させます。
⇒利点: 顧客の信頼を築き、長期的な顧客関係を構築します。

NPSの限界と注意点

NPSは強力な指標ですが、いくつかの限界と注意点も存在します。まず、NPSは質問が一つしかないため、詳細な情報を提供しづらいことがあります。特定の問題や不満点を把握するには、追加の調査が必要かもしれません。また、NPSの計算方法は一般的に公開されていますが、実際にはさまざまな変種が存在し、企業によって異なるアプローチが取られることもあります。したがって、NPSの比較は同業他社との比較に限定されるべきで、業界全体での比較には注意が必要です。

まとめ

Net Promoter Score(NPS)は、マインドロイヤルティを測定し、改善策を見つけ出すための貴重な指標です。顧客の忠誠心や愛着度を数値化することで、ブランドや企業は長期的な顧客関係を築くための戦略を練りやすくなります。マインドロイヤルティを重視し、NPSを活用することで、競争の激しいビジネス環境で成功を収める一歩を踏み出しましょう。

Profile

田中 瑞樹Senior Analyst
一橋大学卒業後、2000年P&Gファーイースト・インクに入社。アシスタントブランドマネージャーとして新商品のコンセプト開発に従事。2002年ダイレクトマーケティングに強みを持つ広告会社の株式会社大広に入社。営業を2年、マーケティングリサーチャー・ストラテジープランナー2年の職種経験を経て、2006年より大⼿健康⾷品通販クライアントの専属デジタルチームのリーダーに着任。以降、約11年間チームを牽引しつつ、「新規顧客獲得販促活」から「顧客育成のCRM活用」まで幅広い範囲のデジタルマーケティング活動に関して、戦略策定・メディアプラン作成・施策開発等に従事。2017年から株式会社ファーストデジタルにジョイン。
田中 瑞樹
田中 瑞樹
この記事は田中 瑞樹が執筆・編集しました。

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