2024.04.03

スピーディーに意思決定できる人が取り入れている「仮説思考」とは

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スピーディーに意思決定できる人が取り入れている「仮説思考」とは
インプットポイント
  • 仮説思考の基本とコツがわかる
  • 具体的な活用イメージがわかる

ビジネス環境は常に変化し、不確実性が高まる現代において、仮説思考は企業が成功へと導く重要な鍵だ。

仮説思考とは、仮説を立て、それを検証することで、スピーディーな意思決定を行うことである。

特にマーケティング領域では、感情などの予測が難しい変数を持つ「ヒト」を相手取り、行動やニーズを予測し、効果的な戦略を立てる上では、仮説思考が不可欠となる。

この記事では、仮説思考の基本と、ビジネスやマーケティングに活用する方法について掘り下げていく。

仮説思考が、ビジネスが持つ不確実性というハードルを乗り越えるのに一役買う理由を明らかにしていこう。

仮説思考とは

仮説思考は、ある前提に基づいて結論を導き出す思考法のことだ。

ビジネスでこの思考法を活用すれば、問題解決や意思決定の精度/スピードの向上が見込める。

例えば、戦略策定、製品開発、市場分析などだ。

とりわけ、新規事業を手掛ける企業やスタートアップ企業では、市場のニーズを正確に捉えるための仮説を立て、小規模でありながら具体的な検証を実施するケースが多い。

新規事業の立ち上げや既存ビジネスの改善では、シェア獲得や売上拡大等だけでなく、リスクや開発コスト等を抑えコントロールすることも重要になる。

サービスやアイデアの実現可能性を検証するPoC(概念実証)などは、まさに仮説思考をベースにした取り組みと言える。

仮説を立てて検証することで、リスクをコントロールしながらスピーディーに検討を進めることができるわけだ。

仮説思考のプロセスとコツ

仮説思考の基本的なプロセスを見てみよう。

プロセスは以下の通りである。

  1. 現状を分析する
  2. 仮説を設定する
  3. 実際のデータや実験を通じて検証する
  4. 仮説に応じてネクストアクションを決定する

それでは、各ステップごとに掘り下げ、コツをご紹介していく。

1.現状を分析する

仮説思考は、仮説を立てることから始まる…のではなく、状況を分析し、問題の整理/特定することから始まる。

問題を特定するには、目標やゴールと現状を比較し、「今何ができていないか」を考える。

そうして特定した問題を、さらに小さな部分に分解して、より扱いやすい小問題に構造化する。

こうすることで、問題の本質が理解でき、仮説が立てやすい形に整理することができる。

2.仮説を設定する

次に、特定された問題に対する解決策や施策に関する仮説を立案する。

解決策は、検証可能なものを設定するといい。

なお、すべての仮説を同時に検証することはできないため、重要性や緊急性に基づいて優先順位付けを行う。

そして優先順位の高い仮説から検証を開始し、結果に応じてネクストアクションを計画する。

3.実際のデータや実験を通じて検証する

立案した仮説を検証するための方法(どのデータを収集するか、どのような検証を行うか等)を考え、検証の計画を練る。

立てた計画に基づき、検証を行う。その際のコツについても触れておこう。

データ収集のコツ

有効なデータを収集するには、定量的データと定性的データの両方を活用する必要がある。

定量的データは、数値によって測定される情報で、調査やオンライン行動分析を通じて得るのが一般的で、おおよその傾向を把握したり、大きな方向性を定めるのに役立つ。

一方、定性的データは、インタビューやフォーカスグループを通じて得るのが一般的で、主観的な意見やインサイトを取得し、方針を精緻化するのに役立つ。

両方のタイプのデータを組み合わせることで、仮説に対するより深い洞察を得ることができる。

データ分析のコツ

収集したデータを分析する際には、落とし穴に注意が必要だ。

一つは、データを過剰解釈することである。

データが示唆するもの以上の結論を導き出さないように注意が必要である。

また、バイアスを持たせずに分析を行うことも重要である。

例えば、ヒトは自分に都合のいい情報ばかりを集め、解釈する「確証バイアス」の影響を受けやすい。

そうした自身の期待や先入観に影響されず、客観的なデータのみに基づいて分析を行う。

また、収集したデータには、多分に異常値や外れ値が含まれることがあるが、それらを切り捨てず、異常値にこそ重要な意味があるのではないか、と洞察することも大切である。

4.仮説に応じてネクストアクションを決定する

データを分析した後は、その結果と元々の仮説とを照合し、ネクストアクションを決定する。

仮説が支持された場合、それをどのようにビジネスに反映するかを検討する。

仮説が棄却された場合は、その原因を理解し、新たな仮説を立て、検証することを繰り返す。

仮説思考は、以上のプロセスをたどるのが一般的だ。

だが、本当に重要なのはプロセスではない。

「仮説を立て、スモールスタートを行い、早期に検証すること」それ自体が重要なのである。

そしてそれと同じくらい重要なのが、「検証の結果に応じて、迅速に仮説を更新し、適応する柔軟性」である。

マーケティングへの応用

実際にマーケティング領域にフォーカスし、仮説思考がどのようなシーンで活用できるのかを考えてみよう。

Case. 1:顧客理解の深化とセグメンテーション。

顧客のニーズや行動パターンを理解する上で、仮説思考が役に立つ。

市場調査やデータ分析を通じて仮説を立て、それを検証することで、より精密な顧客セグメンテーションが可能となる。

これにより、ターゲット顧客に合わせたカスタマイズされたマーケティング戦略を展開することができる。

Case. 2:キャンペーン戦略

広告等のマーケティングキャンペーンの計画段階で仮説を立てることは、キャンペーンの成果を最大化する上で重要である。

どのメッセージが顧客に響くか、どのチャネルが最も効果的かといった仮説を設定し、A/Bテストなどを通じてそれらを検証する。

これにより、リソースを効率的に活用し、ROIを最大化することが可能だ。

Case.3:価格戦略の最適化

異なる価格設定に対する顧客の反応に関する仮説を立て、アンケート等のマクロ調査を実施することで、最適な価格ポイントを割り出すことが可能だ。

これにより、新規プロダクトのプロパー価格や、既存プロダクトのセール価格を最適化し、売上の最大化や市場での競争力の強化を図ることができる。

ビジネスのあらゆるシーンで役立つ仮説思考

仮説思考は、多数の要因が絡み合い不確実性が高まった現代のビジネス環境を切り開くための、強力なツールとなる。

本稿では、ビジネスにおける仮説思考の重要性と、マーケティング戦略に与える影響についてご紹介してきた。

なお、仮説思考は、新規事業の立ち上げや既存ビジネスの改善といった特定の領域にのみ閉じた思考法ではない。ビジネスのあらゆるシーンで活用可能だ。

日々の業務に取り入れれば、仕事の効率化やアウトプットの品質向上が期待できる。

業務や周囲の環境に問題や課題がないかを観察し、仮説を立てる習慣をつけてみるのもおすすめである。

Profile

植野 峻彰Senior Consultant
慶應義塾大学卒業後、服飾関連の製造小売企業に入社。その後、化粧品関連の商社にて、主にマクロを駆使した社内外のRPA、およびDXプロジェクトに参画。2021年から株式会社ファーストデジタルにジョイン。
植野 峻彰
植野 峻彰
この記事は植野 峻彰が執筆・編集しました。

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