2024.12.18

プロジェクトを前進させる有識者インタビュー入門

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プロジェクトを前進させる有識者インタビュー入門
インプットポイント
  • • プロジェクトを成功に導く有識者インタビューの準備から実践までのポイントがわかります
  • • 有識者の知見を最大限に引き出すためのインタビュー技法を習得できます
  • • インタビュー結果を効果的に分析し、プロジェクトに活用する方法を学べます

プロジェクトの成功には、適切な情報収集と知見の活用が不可欠です。その中でも有識者インタビューは、専門的な知識や経験を持つ人々から直接的に情報を得ることができる、非常に重要な手法となっています。本記事では、プロジェクトの成功に寄与するための、有識者インタビューの活用法について記載しています。

有識者インタビューの準備

有識者インタビューの成否は、入念な準備にかかっています。インタビュー対象者の選定から質問内容の設計まで、事前の準備段階で押さえるべきポイントについて説明します。

インタビュー対象者の選定

有識者の選定は、インタビューの目的を達成するための重要事項の1つです。以下の点に注意して選定を進めましょう。

まず、プロジェクトの目的や課題に応じて、必要な知見や経験を明確にします。技術的な専門知識が必要なのか、業界の動向に詳しい人物が望ましいのか、プロジェクトマネジメントの経験者が適切なのかなど、求める知見を具体化します。

次に、候補者の経歴や実績を丁寧に確認します。過去のプロジェクト経験、業界での立場、発信している情報の質などを総合的に評価しましょう。また、プロジェクトの特性に合わせて、社内と社外のバランスも考慮します。 さらに、候補者の現在の立場や役割も重要な判断材料となります。現役で実務に携わっているか、最新の動向に詳しいか、実践的な知見を持っているかなどを確認します。

事前リサーチと質問設計

インタビューを効果的に進めるためには、綿密な事前リサーチと質問設計が欠かせません。
事前リサーチの主な目的は、インタビューの質と効率を高めることです。有識者の時間は貴重であり、ブラウザ調査で得ることが可能な情報収集に、有識者の時間を費やすことは避けるべきです。また、有識者の専門分野や経験を理解することで、より本質的な質問を準備することができます。

質問設計では、まず全体の構成を検討します。導入質問から本質的な質問へと自然に展開できるよう、質問の順序を工夫します。また、以下のような質問の種類を適切に組み合わせることで、より深い知見を引き出すことができます。

  • オープンクエスチョン:「どのように」「なぜ」など、詳しい説明を引き出す質問
  • クローズドクエスチョン:「はい」「いいえ」で答えられる、事実確認のための質問
  • プロービング:回答の詳細を掘り下げるための追加質問

インタビュー実施におけるポイント

ンタビューの成功は、有識者との円滑なコミュニケーションにかかっています。ここでは、インタビューを効果的に進めるための具体的なポイントについて解説します。

インタビューの進め方

インタビューの冒頭では、どのような背景/目的のもとにインタビューを実施しているか、有識者に理解してもらうことが重要です。

参加者の紹介とプロジェクトの概要説明を丁寧に行い、インタビューの目的と期待する成果を明確に伝えます。その際、事前リサーチで把握している内容を開示することで、有識者がインタビューの場でなにを話すべきか判断することができます。

また、インタビューの時間配分について有識者と合意を取ることも大切です。質問の数や優先順位を予め伝えることで、限られた時間を効率的に活用することができます。

また、議論が本筋から外れた場合は適切なタイミングで軌道修正を図る必要があります。

質問におけるテクニック

インタビューでは、準備した質問を淡々とこなすのではなく、有識者の回答に応じて柔軟に質問を展開することも重要なポイントです。
有識者の発言から重要なキーワードを拾い、それを軸に質問を展開していきます。また、重要な論点については「具体的な事例で言うと」といった導入で、異なる角度からも掘り下げていきます。このように柔軟に質問を組み立てることで、準備段階では想定していなかった重要な知見を得ることができます。

インタビュー結果の分析と活用

インタビューで得られた情報から、プロジェクトに有用なインサイトを抽出することは、有識者インタビューの最も重要な工程の一つです。

有用なインサイトを導出するには、インタビュー内容全体を俯瞰し、以下のような複数の視点から分析を行います。

  • 発言の一貫性:似たような文脈で語られた内容を突き合わせ、共通するメッセージを見出します。
  • 業界標準との比較:事前リサーチによって得ている一般的な考え方や手法と、有識者独自の見解との違いを明確にします。
  • 時間軸での変化:過去の経験と現在の見解、さらに将来への展望について整理します。
  • 成功と失敗の要因:具体的な事例から、成功や失敗を分ける重要な要素を特定します。

このような多角的な分析を通じて、事前に設定したインタビューの目的に照らし合わせながら、より的確なインサイトを抽出/導出します。

得られたインサイトは、プロジェクトの関係者間で共有し、具体的なアクションにつなげていきます。また、インサイトの中でも特に重要なものは、プロジェクトの方向性を決定する重要な判断材料として活用します。

まとめ

有識者インタビューは、戦略策定、新規事業/サービス立ち上げ、業務改善など、幅広いテーマで有用な情報収集手段の1つとなっています。一方で、有識者インタビュー実施する前には、その目的や進め方だけでなく、どのように活用するかといった点まで考慮しておかなければ、有用な示唆を得ることが難しい手段でもあります。

デスクトップ調査や文献調査では得にくい、実態に即したインサイトの収集に関してお悩みごとがありましたら、ぜひ弊社にご相談頂ければと思います。

Profile

窪田 聡史Senior Consultant
WEBプロダクションにてディレクターとしてサイトやオウンドメディア構築、WEBコンテンツ制作に従事。コンテンツの企画からリリースといった制作の全工程においてプロジェクトの進行管理で豊富な経験を積み、2021年から株式会社ファーストデジタルにジョイン。
窪田 聡史
窪田 聡史
この記事は窪田 聡史が執筆・編集しました。

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