2023.07.19

BtoBにおけるコミュニティ活用の重要性とコツ

  • コミュニティタッチ
  • コミュニティマーケティング
  • カスタマーサクセス
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  • BtoB
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BtoBにおけるコミュニティ活用の重要性とコツ
インプットポイント
  • コミュニティの活用がBtoBでも重視される理由
  • BtoBにおけるコミュニティ活用のポイント

企業が自社のブランド/商材を利用する顧客をまとめ上げ、情報を共有したり意見交換したりする場。それがコミュニティである。

コミュニティという言葉は、一般的にはBtoCの文脈でよく使われるが、コミュニティの有効性はBtoCだけにとどまるものではない。

実は、BtoBマーケティングにおいてもコミュニティは重要な役割を果たすのである。

コミュニティの活用がなぜBtoBで重要なのか

顧客に成功や成果を届けることを追求し続ける「カスタマーサクセス」が注目を集めてから久しい。(参考:【書評】カスタマーサクセスとは何か

このカスタマーサクセス、BtoCではさることながら、BtoBにおいても同様に重要となる。

ことBtoBでは、商材が買い切り型であれリテンション型であれ、商取引を一回限りのものとせず、長期に渡る関係性を築き、維持する必要があるからだ。

この関係性を構築/維持する上で重要な役割を果たすのが、今回のテーマとなっているコミュニティである。

コミュニティへの理解を深めるために、まずはサプライヤー企業(貴社)とクライアント企業(顧客企業)との関わり方を整理しておきたい。

双方のかかわり方は、コミュニケーションの手法やリソース投下の仕方により、「テックタッチ」「ハイタッチ」「ロータッチ」「コミュニティタッチ」の4つに分類される。

  • ハイタッチ

対面やWeb会議等、1対1の個別最適化された対話を活用する手法を指す。主にLTVが高い顧客に対してとるものである

  • ロータッチ

セミナーや研修会等、1対nのコミュニケーションを活用する手法を指す。主にLTVが中程度の顧客に対してとるものである。

  • テックタッチ

Webサイト上でのヘルプコンテンツ提供やMAでのメルマガ配信等、一方向的な1対nのコミュニケーションを活用する手法を指す。主に、LTVが低い顧客に対してとるものである。

  • コミュニティタッチ

サプライヤー企業と複数のクライアント企業が対話/影響しあうコミュニティを活用する手法を指す。上記3つの顧客層に横断的にアプローチするものである。

このようにして見ると、コミュニティタッチを取り入れることは、全ての顧客層との関係性づくりに寄与することがお分かりいただけるだろう。

また、個別最適化されたサポートを通してハイタッチ層が獲得した知見やナレッジが、コミュニティ上でロータッチ層にシェアされる、といったシナジーも生まれる。

そのため、単にハイタッチ/ロータッチ/テックタッチのみを提供する場合に比べ、ROIの向上が期待できる点も見逃せない。

BtoBにおけるコミュニティ活用の効果/メリット

それでは、コミュニティ活用により得られる具体的な効果やメリットをさらに詳しく見ていこう。

サポート/オンボーディングの効率化/省力化

コミュニティでは、サプライヤー企業とクライアント企業間の対話だけでなく、クライアント企業同士の対話も発生する。課題を抱えるクライアント企業に対し、別のクライアント企業が知見を提供するなど、問題/課題の共助的な解決が見込めるため、サポート/オンボーディングの効率化/省力化が可能だ。

また、コミュニティ構築の際、先述したテックタッチ~ハイタッチのコミュニケーション手法を内包したコミュニティツールを選択することで、サポート/オンボーディングに必要な各種ツールのつなぎ込みが不要となる。サポート/オンボーディングのチャネルを1つに集約できることは、導入コスト/運用コストの削減につながり、サプライヤー企業にとって大きなメリットとなるはずだ。

商材価値/利用用途/ユースケースの発見

これは特に先進的なサービス/業界特化型のサービスについて言えることだが、業界/業種/職種を同じくするクライアント企業同士で、商材の使い方に関する対話がなされることがある。

中には、サプライヤー企業が想定していなかった新たな利用用途やユースケースの発見につながるものもある。

利用用途やユースケースが増えると、それだけで商材の価値が高まることになる。

業界知識の深堀

コミュニティ上では、提供している商材に直接関係のない、業界特有の悩みについての対話や、業界特有のナレッジのシェアが行われることがある。

簡単に言ってしまえば、提供中の商材そのものから一段上のレイヤー/周辺事項にまで話が及ぶことがある、ということだ。

こうした業界特有の課題やナレッジに関する対話は、日常的にその業界に関わっているクライアント企業同士であればこそ発生するものだ。

サプライヤー企業としても、こうした対話から業界知識を深めることで、商材を企画/改善したり、セールス/マーケティングを行う上での気づきを得ることができる。

商材/セールス/マーケティングの改善

コミュニティ上での対話の中から、ネガティブな要素を抽出すれば、提供中の商材に関しての課題/改善すべきポイントを洗い出すことも可能だ。

逆にポジティブな要素を抽出すれば、どのような顧客層に、商材のどのようなポイントが刺さるのか、といった示唆を得ることができるため、セールスやマーケティングへの活用が可能となる。

商材/オプションの立案と検証

コミュニティ上での対話で、既に提供している商材やオプションでは賄えないニーズやインサイトなどの要素が挙がった場合、それに応える新たな商材/オプションを仮説として立案できる。

また、立案した仮説は、再度コミュニティに逆輸入し、アンケートなどの調査を行うことで、仮説の確からしさを検証することも可能である。

ロイヤリティとLTVの向上/新たな顧客層の呼び込み

ここまでサプライヤー企業目線でのメリットを挙げてきたが、実はこれらは全て、クライアント企業側のメリットとも表裏を共にする。

直面している課題や疑問点が解決し、導入している商材が改善されてより良いものになり、シェアされたナレッジでビジネスが成功すれば、クライアント企業のロイヤリティが高まり、LTVを高めることができる。

また、ロイヤリティの高いクライアント企業は、時に新たなサプライヤー企業を呼び込むため、これまでのルートではリーチできていなかった顧客層の獲得も期待できる。

他にも、コミュニティの導入目的/コミュニティのテーマ/提供する商材の特性等によって、コミュニティの活用方法や効果には様々なものがあるだろう。

コミュニティの導入/活用を検討する上での参考にしていただきたい。

BtoBでコミュニティマーケティングを成功させるためのポイント

最後に、BtoBにおけるコミュニティタッチでのマーケティングを成功させるためのポイントをご紹介したい。

ここからは、コミュニティに訪れるサプライヤー企業の個々人を指し、単にユーザーと呼ぶものとする。

カギを握るのは、コミュニティでのアクティブユーザーを増やすことと、アクティブユーザーにより多くの行動をとっていただくことである。

言い換えると、コミュニティへの来訪動機付けと、コミュニティ上での行動促進、という2軸となる。

コンテンツやコミュニケーションルートのコミュニティへの集約

コミュニティ上でユーザー行動や対話を生むには、そもそもコミュニティにユーザーが存在する必要があり、そのためにはユーザーがコミュニティに訪れる来訪動機が必要だ。

来訪動機付けとして効果的なのは、商材を利活用する上で必要なコンテンツ/コミュニケーション手段を、コミュニティに集約することである。

具体的には、マニュアルなどの静的コンテンツ、セミナーなどの申し込み窓口、問い合わせの受け付け窓口等々、これら全てをコミュニティに集約するということだ。

つまり、「コミュニティに来れば、疑問が解消し、商材が利活用できる」という、ユーザーが迷わないような状態を作るのである。

なお、コミュニティサービスの中には、コンテンツ提供機能/1対nのコミュニケーション機能/1対1のコミュニケーション機能等、オンボーディング/カスタマーサクセスに必要な機能を全て内包したものもある。コミュニティ構築の際は、そうした包括的なコミュニティサービスを選択するのも有効だ。

コミュニティのテーマの拡張

先ほどと同様、こちらもコミュニティへの来訪動機付けに資する施策である。

BtoBでは、課題の解決やビジネスの成功に寄与する価値を提供することが重要だ。

そのため、コミュニティのテーマを、取り扱う商材そのものから、1つ上のレイヤー/周辺事項にまで昇華/拡張する、というのも有効だ。

例えば、サプライヤー企業の扱う商材が勤怠管理サービスだったとしよう。その場合、コミュニティのテーマを人事/総務にまで拡張する。

すると、商材そのもの以上の価値、すなわち人事/総務切り口での課題解決やビジネス成功を享受するために、コミュニティにユーザーが集うわけだ。

当事者意識の醸成

こちらは、コミュニティ上での行動促進に資する施策である。

人は、所属しているコミュニティに積極的に関与していると感じると、「自分はコミュニティに影響を与える存在だ」という自己効力感が高まり、ますます積極的に行動するようになる、という傾向を持つ。

よりBtoB視点で言えば、単なるサプライヤー/クライアントという関係を超え、「自分はコミュニティやサプライヤー企業に影響を与えている」という当事者意識をユーザーに持たせることで、ユーザー行動の促進が可能、ということだ。結果としてロイヤリティ向上や離脱防止にもつながることは言うまでもない。

では、当事者意識を醸成するにはどうしたらよいだろうか。

当事者意識は、自らの意見が取り入れられた時、リプライされた時、称賛された時等に高まりを見せる。

そのため、当事者意識を高める手立てとして、例えばフォーラム等の定期的に開催し、ユーザー間でアイデアや情報を共有いただいたり、サプライヤー企業としても意見を取り入れるとよい。

また、当事者意識を下げない手立てとして、コミュニティ上でのユーザーの書き込みや問い合わせに対し、サプライヤー企業として可能な限り当日中にリプライを行うと効果的だ。

BtoBにおけるコミュニティ活用は、商材の品質向上、顧客満足度の向上、ひいてはサプライヤー企業/クライアント企業双方のビジネスの成功にも直結する。

カスタマーサクセスが重視される中、コミュニティは、今後ますます企業が競争力を持つために重要なパーツの1つとなるだろう。

Profile

植野 峻彰Senior Consultant
慶應義塾大学卒業後、服飾関連の製造小売企業に入社。その後、化粧品関連の商社にて、主にマクロを駆使した社内外のRPA、およびDXプロジェクトに参画。2021年から株式会社ファーストデジタルにジョイン。
植野 峻彰
植野 峻彰
この記事は植野 峻彰が執筆・編集しました。

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