2024.11.06

LTVを最大化させる「カスタマーサクセス」とは? 〜カスタマーサポートやCRMとの関係〜

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LTVを最大化させる「カスタマーサクセス」とは? 〜カスタマーサポートやCRMとの関係〜
インプットポイント
  • カスタマーサクセスの定義
  • カスタマーサポートとの違い
  • CRMとの違い
  • カスタマーサクセス、カスタマーサポート、CRMの関係
  • カスタマーサクセスがLTVを最大化する理由
  • カスタマーサクセスが企業にもたらす効果

近年、企業にとって「カスタマーサクセス(Customer Success)」の重要性が高まっています。顧客が製品やサービスを通じて成功することを支援し、その結果として企業も利益を得るという考え方が、特にサブスクリプション型ビジネスで注目されています。この記事では、カスタマーサクセスを詳しく解説し、「カスタマーサポート」や「CRM(顧客関係管理)」との関係や役割の違いについても言及しながら、顧客生涯価値(LTV)をどのように最大化するかを探ります。

カスタマーサクセスとは?

カスタマーサクセスとは、顧客が製品やサービスを通じて望む成果を達成できるように企業が支援するプロセスです。この考え方は、顧客が成功することを企業自身の成功と結びつけることを重視しており、特にリカーリング(継続的な)ビジネスモデルにおいて、その重要性が強調されています。

カスタマーサクセスチームの主な役割は、顧客が製品を最大限に活用できるようサポートし、顧客の成功を促進することです。具体的には、次のような活動が含まれます。

  • オンボーディング(導入支援):
    新規顧客がスムーズに製品やサービスを導入し、迅速に成果を出せるようサポートする。
  • 顧客の成功目標に合わせた支援:
    顧客が設定した目標を達成できるよう、進捗を追跡し、必要なサポートを提供する。
  • プロアクティブな問題解決:
    顧客の行動やデータを分析し、潜在的な問題やニーズを予測して事前に対応する。

これにより、顧客の利用期間を延ばし、解約率を下げ、企業にとってのLTVが最大化されます。

カスタマーサポートとの違い

カスタマーサポートは、主に顧客からの問い合わせや問題に対して反応的に対応する役割を持っています。顧客が製品やサービスを利用する際に発生するトラブルや不具合に対して、迅速に解決策を提供することが目的です。これに対して、カスタマーサクセスは、顧客の成功を目的とし、プロアクティブに顧客の課題を予見し、解決策を提供する点で異なります。

具体的な違いを以下に整理します。

  • カスタマーサポート:
    顧客の不満を起点とし、問題が発生してから受動的に対応します。
    顧客の一時的な課題や問題、疑問点を解消することを目的としています。
  • カスタマーサクセス:
    顧客がサービスを利用し始めたときを起点とし、顧客の成功を目指して能動的に支援します。
    顧客の成功体験を実現させる支援をして、LTVを向上させることを目的としています。

カスタマーサポートは問題解決に焦点を当てる一方、カスタマーサクセスは顧客が製品やサービスを最大限に活用できるようにするため、顧客の利用体験全体を支援する役割を担います。

CRMとの違い

ここで「CRM(Customer Relationship Management)」について触れておきたいと思います。従来、CRMは「顧客データを一元管理するためのツールやシステム」として定義されることが多いです。これは、営業やマーケティング、カスタマーサポートの各部門が顧客データを統合的に管理し、効率的に顧客との関係を構築・維持するための手段として使われます。この定義に基づくと、CRMは主に「顧客情報の管理」に焦点を当てており、カスタマーサクセスはそのデータを活用して顧客の成功を支援する活動と位置づけられます。

しかし、近年ではCRMをより広義に「顧客の獲得から管理、そして関係の強化までを一括でサポートするマーケティング手法」として捉える考え方も一般的になってきています。この広義のCRMには、単にデータの管理にとどまらず、カスタマーサクセスやカスタマーサポートといった顧客との接点を一括管理し、顧客体験全体を最適化する役割も含まれるとされています。

この広義の定義に基づくと、CRMは「顧客との関係を包括的にマネジメントするフレームワーク」であり、その中にカスタマーサクセスやカスタマーサポートが含まれていると捉えられます。つまり、CRMが「顧客管理」という大きな枠組みの中で、カスタマーサクセスやカスタマーサポートの活動を統合し、それらを効率的に運用するための基盤を提供するのです。

カスタマーサクセス、カスタマーサポート、CRMの関係

広義のCRMの考え方に基づくと、次のようにそれぞれの役割が整理できます。

  • CRM(広義の定義):
    顧客の獲得から関係の維持・強化までを一括でサポートするフレームワーク。
    営業、マーケティング、カスタマーサポート、カスタマーサクセスを一元管理し、顧客とのあらゆる接点を最適化する。
  • カスタマーサクセス
    CRMの枠組みの中で、顧客が製品やサービスを成功裏に活用できるようにするための「プロアクティブな支援活動」。顧客の成功を企業の成長と結びつける。
  • カスタマーサポート
    顧客が直面する問題を解決するための「反応的な支援活動」。製品やサービスのトラブルに対して迅速なサポートを提供。

この関係により、企業は単に顧客データを管理するだけでなく、顧客が最適な成果を得られるよう、すべての部門が連携して顧客体験を向上させることができます。

カスタマーサクセスがLTVを最大化する理由

LTV(Lifetime Value)は、顧客が企業にもたらす総収益を示す指標です。カスタマーサクセスは、顧客が成功を実感することで長期的な関係を築き、結果的にLTVを最大化します。特に以下の点でカスタマーサクセスがLTV向上に寄与します。

  1. 解約率の低減:
    顧客が製品を十分に活用し、成果を上げることで、解約率が低下します。
    これにより、顧客の利用期間が長くなり、LTVが向上します。
  2. クロスセル・アップセルの促進:
    顧客が満足している場合、追加サービス・製品の購入や上位プランへの移行が容易になります。
    これにより、収益が増加します。
  3. 顧客の紹介効果:
    成功体験を得た顧客は、そのサービスや製品を他者に薦めやすくなります。
    これにより、新たな顧客獲得に繋がります。

カスタマーサクセスが企業にもたらす効果

カスタマーサクセスを通じてLTVを最大化することは、企業に次のようなメリットをもたらします。

  1. 安定した収益の確保
    顧客が長期間サービスを利用し続けることで、安定した収益が期待できます。
  2. 新規顧客獲得コストの削減
    既存顧客が他者に紹介することにより、新規顧客の獲得コストが削減されます。
  3. 製品・サービスの改善
    カスタマーサクセス活動を通じて得られる顧客フィードバックは、製品やサービスの改善に役立ち、さらなる満足度向上に繋がります。

まとめ

カスタマーサクセスは、顧客の成功を支援し、LTVを最大化するための重要な取り組みです。広義のCRMの枠組みの中では、カスタマーサクセスは顧客体験を包括的に支援する要素の一部として機能し、カスタマーサポートとともに顧客との長期的な関係を深めます。顧客の成功を企業の成長に直結させるためには、これらの活動を連携させ、統合的に運用していくことが求められています。

カスタマーサクセスについては、過去に以下の書評記事でも紹介しています。これを機会に、合わせてご確認いただけますと幸いです。

Profile

田中 瑞樹Consultant
一橋大学卒業後、2000年P&Gファーイースト・インクに入社。アシスタントブランドマネージャーとして新商品のコンセプト開発に従事。2002年ダイレクトマーケティングに強みを持つ広告会社の株式会社大広に入社。営業を2年、マーケティングリサーチャー・ストラテジープランナー2年の職種経験を経て、2006年より大⼿健康⾷品通販クライアントの専属デジタルチームのリーダーに着任。以降、約11年間チームを牽引しつつ、「新規顧客獲得販促活」から「顧客育成のCRM活用」まで幅広い範囲のデジタルマーケティング活動に関して、戦略策定・メディアプラン作成・施策開発等に従事。2017年から株式会社ファーストデジタルにジョイン。
田中 瑞樹
田中 瑞樹
この記事は田中 瑞樹が執筆・編集しました。

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