2023.10.18

コンサル流、今日から使える調査テクニック

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コンサル流、今日から使える調査テクニック
インプットポイント
  • デスクトップ調査における業務フローをつかむことができる。
  • 調査業務における具体的なテクニックを知ることができる。

ファーストデジタルに入社してから現在に至るまで、様々なプロジェクトにおいて調査タスクを実施してきました。前回の執筆記事でまとめた新聞業界に関する調査をはじめ、クレジットカード業界や航空業界、果てはドローン関連の調査など、その業界は多岐に渡ります。そのプロジェクトの中には、どこから手をつけたらよいのか皆目検討がつかないものも多数ありました。そのような経験を積む中で、少しずつ自分の中でリサーチの方法論が体系化されてきたように感じています。

そこで本記事では、調査業務の中でも特にデスクトップ調査におけるフローや、自分の経験から通ずる具体的なノウハウについて述べたいと思います。この記事が、調査業務を担う全てのビジネスマンのご参考になれば幸いです。

【目次】

■はじめに

■調査フェーズ①「調査方針の策定」

■調査フェーズ②「調査の実施」

■調査フェーズ③「示唆出し/まとめ」

■終わりに

はじめに

まず前提として、調査の方法には複数の手段/チャネルが存在しています。具体的には、Web上での検索だけではなく、本などの文献調査や、アンケートやインタビューなどの質的なものも調査の方法の一種です。一般的には、常識やトレンドを素早くつかんだり体系化された全体像をつかむために、Web/文献/記事/統計/レポートといったチャネルを使用することが多く、個別に深い情報をつかむために、ソーシャルメディア/フィールド調査/インタビュー/ワークショップ等の調査手法を取ることが多いと言われています。

実際のプロジェクトの際には、調査の目的に合わせて上記の手法を取捨選択しながら最適な調査を実施していくことになりますが、今回の記事では特にWeb/文献/記事/統計/レポートといった、いわゆるデスクトップリサーチの方法にフォーカスしてご説明していきます。

調査フェーズ①「調査方針の策定」

まず調査フェーズの1つ目として、調査方針の策定が挙げられます。このフェーズは調査を実施する上で最も重要なフェーズで、リサーチの設計とも呼ばれています。コンサルの場合、調査タスクの指示は基本的に上司から降りてくるわけですが、その指示の粒度は様々かと思います。「この企業の〇〇の事例が知りたいから、この企業について詳しく調べてみてほしい。」と具体的に示される場合もあるかと思いますが、大抵は「〇〇業界の〇〇関係の事例がないか全般的に調べてみてほしい。」といった大まかな場合がほとんどです。この段階で実施することは大きく分けて2点です。1点目は「調査目的の設定」で、2点目は「仮説の設定」です。

1点目の「調査目的の設定」についてですが、ここで調査目的に認識の相違があると、この後の調査フェーズで見当違いの調査をしてしまったり、全く別の示唆や結論を出してしまう可能性があります。そのため私は、タスクを聞いた上で一度文章におこして、再度上司に認識のズレが無いかを確認しています。整理の仕方としては、5W1Hで整理することが多いです。誰のための調査で(Who)、何を知りたくて(What)、なぜその調査をするのか(Why)など、どのような意図があり最終的にどのような結論(示唆)を出そうとしているのかまで把握できるとベストかと思います。また、いつまでにどのくらいの粒度のアウトプットを出せば良いのかも必ず確認しましょう。この期限によって、この後の調査フェーズでの調査時間/まとめ/示唆出しの時間配分が決まってくるからです。

2点目は「仮説の設定」です。この時点での仮説はある程度の想像でも問題ありません。上司から詳細を聞いた上で、多分こうだろうなと仮説を立てます。ここで立てた仮説を確かめるために、この後の調査を実施していきます。調査を実施する中で、仮説と検証のサイクルを繰り返していくようなイメージです。

上記2点を経て、どのような方法で調査をしていくかを決めていきます。例えば、「大手の新聞会社に対して何かデータ活用に関する提案をしたいので、他社のデータ活用の事例や今後提案できそうな箇所がないか知りたい」という指令が上司から降りてきたとします。この場合は、調査目的としては「新聞会社によるデータ活用事例を探ることにより、新たな提案余地を探ること」で、新聞会社の具体的な取り組み事例に関して知りたいため、調査方法としてはニュースリリース、企業HP等をあたることになるかと思います。

調査フェーズ②「調査の実施」

調査方針の策定が終わると、実際に調査の実施フェーズに入ります。デスクトップリサーチにおける具体的な調査の分類として大きく2種類に分けられます。トップダウン的な調査とボトムアップ的な調査です。

トップダウン的な調査とは、会社全体としての取り組み/方針をある程度明確に提示しているコンテンツ(企業のニュースリリース/NewsPicksなどのメディア/ツールベンダー・コンサル会社の事例など)を探すことで、示唆出しを行うことです。こちらは、ある程度具体的な調査対象(競合他社のベンチマーク調査など)が決まっているときに使われることが多いです。

一方のボトムアップ的な調査とは、あらゆる情報から整理し、企業/業界全体の取り組み/方針を見抜くことです。私の体感では、こちらの方法で示唆出しを実施することが多いです。ボトムアップ的な調査では、まずは様々なソースをあたり業界全体の動きを掴みます。その上でクライアント企業が今後進むべき方針を見定め、現状と理想におけるギャップを見極めます。そのギャップを埋めるための提案/示唆出しを実施するといったイメージです。どちらの調査の仕方が良いというわけではなく、こちらも調査の目的によって柔軟に変えていく必要があります。フェーズ①で例にあげた、「新聞業界に関する調査」もこちらの調査方針が適しているかと思います。

特にボトムアップ的な調査の場合、膨大な量のソースを調べる必要があるため、どこから手をつけてよいか分からない、どう調べればよいか分からない、という状況に陥りがちです。そこでここからは、デスクトップリサーチの中でもボトムアップ的な調査における、私がよく使っているテクニックをお伝えします。

【ボトムアップ的調査におけるテクニック】

  • 画像検索、「.pdf」検索を実施する

調べる対象の業界が、自分に何の前知識もない業界の場合、まずはその業界にどのようなプレイヤーがいて、どのようなマネタイズで企業経営が成り立っているのかを把握する必要があります。そのようなときには、画像検索が便利です。「新聞業界 カオスマップ」や「新聞 マネタイズ」等で調べると、画像で分かりやすく業界を解説してくれているようなリソースが大概出てきます。まずはそのような調べ方から、業界構造を把握していきましょう。

他には、業界全体の仕組みや構造を把握するための手段として、本などの文献をあたるのも非常に有効です。これは先輩のコンサルタントから教わったことですが、あまり詳しくない業界のプロジェクトに参画する際は、テーマを気にせずその業界に関する本をまとめて何冊か購入してざっと通読すると、大体の重要な情報は把握することができるかと思います。

  • 検索欄において様々な入力形式で検索する

Web上での調査においてまず実施することは、語句の検索です。この語句の検索においても、組み合わせを変えることで大きく検索結果が変わってきます。例えば「新聞 データ活用」「新聞 データ 事例」など様々試してみましょう。すると、調べていく中でその業界で専門的に使われている用語なども分かってきます。その用語も組み合わせて検索しましょう。

また、検索語句の最後に「.pdf」とつけるとPDF形式のファイルのみがヒットします。このようなファイルは企業の公式資料、別のコンサル/リサーチ会社/シンクタンク等の報告資料の場合が多いため、参考資料としては信憑性に足るものが多い印象です。

  • ニュースサイト/その業界の専門サイトを活用する

調査をしていく中で多くヒットするのは、ニュースサイトが掲出するニュースやプレスリリースなどです。日経電子版などのビジネスに関するニュース全般を扱うサイトだけではなく、業界によってはその業界専門のニッチなニュースを多く扱うサイトも存在しているので、それらを探し出して大いに活用しましょう。ちなみに、弊社の得意領域であるマーケティングやデータ活用といった事例に関しては「ITメディアマーケティング」、企業のプレスリリース関連は「PR TIMES」などが参考になるイメージです。

また、そのような専門的なサイトによっては会員登録が必要になる場合もあります。無料であれば登録してよいかと思いますが、有料であれば上司と相談しましょう。お金を支払って得られる情報が、本当にその価値のあるものなのかは見極める必要があるからです。

  • 出典を辿る

調査を進めていると、コンサル会社や官公庁などが作成した報告書などに出会うかと思います。自分が探しているものと完全に合致している内容に出会えるケースは少ないですが、少なくとも関連している情報である場合は、その報告書の出典をさらに辿っていきましょう。有象無象の情報が存在している中で、そういった出典として挙げられているソースは信頼できる情報筋の場合が多いです。

  • 企業のIR/採用サイト/M&A情報をチェックする

業界構造について把握できた後は、そのクライアントの競合他社の動向についても調べることが多いかと思います。上場企業であれば、IR情報をチェックすると競合他社や業界全体が今後どのような動きをしていくかを掴むことができます。未上場の場合は情報が少ないですが、そのような時は採用サイトをチェックしましょう。企業にもよりますが、非常に作り込まれている場合が多く、競合企業における事業の全体像や、採用を強化したい場所(=今後強化したい事業)なども把握することができます。 他には、私はよく競合他社のM&A情報や資本提携情報などを調べています。そういった情報は大抵プレスリリースとして上がっているので情報を掴みやすいだけでなく、この領域は今後注力していきたい領域なんだろうな、と仮説を立てることが出来るからです。

上記のテクニックを使って、最初に立てた目的に則り調査を進めていきましょう。調べている最中に良い事例に出会った場合は、必ずそのサイトの情報を控えておきましょう。大量に情報が集まるため、キーワードでタグ付けするなどうまく分類分けしておく必要があります。

どこまで調べるかという点に関してですが、調査系のタスクは調べ出すとキリがない為、最初の仮説を立証、あるいは別の仮説を立証できるだけの論拠が集まったら終了、としてよいかと思います。ダラダラと調べ続けるのではなく、期間を決めて質の高い調査を実施しましょう。

調査フェーズ③「示唆出し/まとめ」

使えそうな事例/資料が大体出揃ってくると、調べたことを取捨選択して資料に落とし込むフェーズに入ります。最初に設定した目的/仮説を裏付ける論拠が揃っていると思いますので、それらを資料にまとめていきます。正確には、②を完全に終えて③に移行すると言うよりは、②を進めていく中で、このようにまとめていこうかな、ということを考えながら③に入っていくのがベストです。また、調査した事例をただまとめるだけではなく、そこから示唆を出すこともコンサルタントにとっては重要な仕事です。時には上司とディスカッションを重ねながら、質の高い示唆を出しましょう。

まとめ方に関しては千差万別あるので一概には言えませんが、自分はパワーポイントでの作成に取り掛かる前に、その資料において必要な要素を紙に書き出すようにしています。自分の場合は、まずは大まかなスライド全体の構成のストーリーラインを考えます。その際には、読む側が違和感のある構成にならないか、論理に飛躍が無いかを注意します。

その後それぞれのストーリーラインに合わせたスライドの詳細を作成していくわけですが、自分の場合はこちらもまずは箇条書きで必要な項目を列挙するようにしています。最初に定めた目的や仮説に答えられる要素が揃っているのか、MECEになっているのかをチェックするためです。具体的には、A4の紙を半分にして左側に必要な要素を列挙、右側にそれらをスライドに落とした場合どのように表すことができるか、を書いていくイメージです。

さらに具体的なスライド内容に関しては、センスが問われるところかと思います。自分は最初の頃は、先輩方の作成した過去のプロジェクトの資料を隅々まで読んで、フォーマットや構成を真似させていただいていました。(大きい声では言えませんが今もしています。)

以上の作業が終わって、初めてスライドの作成に取り掛かります。資料の作成方法に関しては、様々なショートカットキーを駆使しながらできるだけスピーディーに正確に作成していくことを心掛けるのみなので、今回は割愛させていただきます。たくさんパワーポイントを触っていると徐々に、頻繁に使う動作が掴めてきます。それらの動作を短縮させるショートカットキーを調べ、覚えて、物にしていく。この繰り返ししかないと感じています。(自分もまだまだ遅いので修行中です。)

終わりに

いかがだったでしょうか。今回は、デスクトップ調査における業務フロー及び実際の調査で使えるテクニックについてご紹介してきました。

様々なテクニックをご紹介しましたが、最も重要なことは、自分の知らない業界/企業に対して興味関心を抱き、好奇心を持ち続けることだと感じています。知らないことを新しく知る喜びさえあれば、自分の知りたい情報に必ずたどり着けると思います。自分もまだまだ研鑽中の身ですので、内容に至らぬ点もあったかと思いますが、この記事が少しでも皆様の調査業務のお役に立つことになれば幸いです。

Profile

井上 陽貴Senior Analyst
慶應義塾大学卒業後、楽天グループ株式会社に⼊社。モバイル事業において、モバイルコンサルタントとして複数店舗の分析・仮説⽴案・改善提案・施策実⾏を担当。その後、EC事業において新規店舗開拓の営業に従事。2023年から株式会社ファーストデジタルにジョイン。
井上 陽貴
井上 陽貴
この記事は井上 陽貴が執筆・編集しました。

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